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隠れた文学散歩

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京成国府台駅から矢切の渡しまでの散歩コースはいくつもありますが、今回はあまり知られていない文学を紹介しながら歩いてみます。

国府台駅から歩道橋を渡って江戸川沿いをしばらく歩くと里見公園の下に出ます。この辺の岸は、昔は深い淵になっていて「鐘ヶ淵」と呼ばれていました。そこにあった松の木は「鐘掛けの松」と言われて民話にもなっていますが、文豪・夏目漱石の『吾輩は猫である』にこんな話があります。~「例の松た、何だい」と主人が断句を投げ入れる。「首懸けの松さ」と迷亭は頂を縮める。
「首懸けの松は鴻之台でせう」寒月が波紋をひろげる。「鴻之台のは鐘掛けの松で、土手三番町のは首懸けの松さ」~ 昔の言い伝えでこの松の下に来ると首をくくりたくなるという話が続きます。それから、漱石の『彼岸過迄』にはこんな文章もあります。「この日彼らは両国から汽車に乗って鴻の台の下まで行って降りた。それから美しい広い河に沿って土手の上をのそのそ歩いた」と。

柴又帝釈天まで歩いて、川甚という店にいって飯を食ったとあります。川っ淵の羅漢の井のところを右に折れると里見公園の入口に出ますが、その近くに石井床屋があります。床屋のおかみさんに聞くと、近くにある伯父さんの家は、以前は岡本一平が住んでいたということです。
岡本一平は岡本太郎のお父さん。太郎は生前、お父さんの墓参りに来た折、何度か床屋さんを訪ねたということです。そういえば一平は漱石の新聞連載小説に挿絵を描いていました。そういうご縁がこの地にあるのかもしれません。

戦後の作家である水上勉も小説家となる前は矢切に住んでいて、このあたりを散歩していたらしく水上勉の推理小説『巣の絵』では里見公園が殺人の舞台となっています。時代は戦後の面影を残した昭和30年代。東京・大塚で幻燈画家が殺され、その犯人と思われる男が里見公園の裏門近くで死体となって見つかるという話です。市川広小路近くにあった山崎製パンも山品製パンという名前で出てきます。里見公園や国府台一帯の描写は驚くほど細かく、こんな文章も。「病院前から、国道を横切ると、すぐ公園に向かう並木路である。両側の角にミルクホールと中華料理店があり、路はそれから人家が続いた。しばらく行くと病院の分院の堀に突き当たった。そこは三叉路になっていた」その先は、勾配になって下り坂となり江戸川にでる。血清研究所の裏側で市川真間に抜けられる、と。北総鉄道矢切駅前には水上勉の旧居跡があります。
矢切ゆかりといえば伊藤左千夫の「野菊の墓文学碑」がありますが、こちらは有名なので割愛します。そう、伊藤左千夫が小説「野菊の墓」でデビューした時、絶賛して文壇に後押ししたのも漱石でした。

案内人:木ノ内博道(参考資料:『里見公園新聞』)

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