10:(200111)
少聞多想/9:「どう生きていけばいいの」と聞きたい。
- 父が他界してから、もう、10年以上になる。ある日、実家から電話が来て、「胃癌だ。半年も持たない」と聞いた夜は朝まで眠れなかった。助かる見込みのない父との会話は哀しく辛かった記憶がある。宣告から10ヶ月後、見舞い先から東京のアパートに帰った次の朝、「父が逝った」と連絡が来た。
- 父は福島県の阿武隈山系の山深い村に生まれ、少ない土地を耕す農夫として生きた。春から秋までは泥まみれになって働き、農作業の出来ない冬には日雇いとして工事現場で働いた。農業は作物を育てる楽しみはあるが、少ない土地、寒い気候、悪い交通の便ではそれほど裕福には暮らせなかった。それでも、不幸そうでもなく平凡な農夫として人生を終えた。
- この頃、父が逝ったからか、何を思って生きていたのか聞いて見たいと思うことがある。いざ、自分が大人と呼ばれる年齢になって見ると、若いときに想像した将来の自分とは相当な隔たりがあり、オロオロするばかりで立派な大人だとなかなか胸を張れない。
- 「どう生きていけばいいの」と聞きたいところだが聞きようもない。今の私の年代の頃、父は仲間多く作ることにエネルギーをさき、いつも仲間と笑った。これがヒントなのだろう。(堀)

