13:(200202)
少聞多想/13:私が生まれて初めて買ったレコード。
- 私が生まれて初めて買ったレコードはサイモンとガーファンクルの「明日に架ける」という曲だった。曲を聞いたことがあった訳でもなかったし、サイモンとガーファンクルというグループも知らなかった。ただ、新聞の評論に「素晴らしい」とあったのに同調して買いたくなった。高校生の時のこと。
- 田舎の高校生だった私は、毎年、農作業の忙しい夏休み以外、つまり、冬休み、春休みには農家の大人たちと一緒に出稼ぎに来ていて、飯場暮らしをしていた。そのお金があったから、カメラやステレオ、レコードを買うことが出来た。
- 音楽評論に感激してレコードを買ったことは失敗ではなかったが、今になって考えてみると、「いい音楽を聞きたい」という思いばかりではなかったような気がする。「俺はこんな素晴らしい音楽を聞いているんだぜ」と内心自慢したくてしょうがなかった。劣等感にさいなまれることも多かったし、他人にどう思われているか気になって仕方のない思春期の真っ只中。自分はいつもカッコ良くなければならない。流行が過ぎた新譜以外の曲を人目を気にせず買えるようになった時には2、3年が経っていた。
- あのルーズソックスも茶髪も、そう思って見ると、いじらしくてしょがない。分かって分かってしょうがないと思うのはオジさんの証拠か。(堀)

