40:(200405)
少聞多想/40:時間は非情に経過する。
- 「幕張のビル立つはざま歩く母遅れ遅れしかくも小さき」。2000年の夏に自宅近くの幕張プリンスホテルに母、私の兄弟とその子供が宿泊した。夕食はWBGのマリブダイニングでとることになり、幕張プリンスからマリブダイニングまで全員ビルの谷間を歩くことになった。
- 近くに見えたビルでも、幕張はひとつひとつのビルが大きいから、歩いてみると見て感じた距離よりかなり遠い。みんなゆっくり歩いているのだけれど、72歳になる母は足が不自由になったのかどうしても遅れる。私はそんな母となるべくゆっくり歩いた。長年農作業を続けてきた母の腰は曲がり、正月に帰郷して会ったときよりまた小さくなったようだ。時間は容赦なく母をいためつけていた。そして、私はそれをどうすることも出来ない。そんな気持ちを短歌にしてみたのがこれ。
- その2年後、母の心臓の弁の付け根にこぶのようなものが見つかった。こぶは遺伝的なもので、そのせいで心音がおかしらしい。それ以来、母はめっきり出かけることが少なくなった。ハワイに一緒に行く約束も一方的にキャンセルされてしまった。
- 時間は非情に経過する。それを嘆いても仕方がないから、ささやかな夢でも見るしかない。「さぁて、今度の休みには富津に潮干狩りにでも行こうかなっと」。(堀)

