54:(200507)
少聞多想/54:父の家庭サービス
- 今年も暑い夏になった。夏と言えば子供の頃、父に海へ連れて行ってもらったなつかしい思い出がある。今で言う家族サービスだ。私の実家は阿武隈山系の真ん中にある。いわき市の豊間海水浴場まで行くために、父は家族を耕運機の荷台に乗せ、磐越東線近くの母の実家まで行く。もちろん、耕運機の荷台に乗るのは道路交通法違反だけれど、早朝だし、交通もほとんどない時代の話。
- 母の実家から駅まで歩き、汽車で行ったのだと思う。それが蒸気機関車だったことと、トンネルがあったことくらいで途中のことは覚えていない。何処の駅あたりからだったのだろうか、炭鉱の石炭を運ぶリフトがあった。今では美空ひばりの「みだれ髪」の歌碑で有名になった塩屋崎灯台へも行った。2番目の弟は高いところが苦手だったのかとても怖がった。妹は案外そんなのは平気だった。そんなことを覚えている。一番下の弟はまだ小さくて行かなかったのかも知れない。
- 夏は農家にとってとても忙しい時期だ。暗いうちから畑に出かけ、葉たばこを収穫する。それを私たち子供が縄に編む。土間の葉たばこを編み終えた頃、また葉たばこが来る。
- あんな忙しい時期によく父は海に連れて行ってくれたものだと感心する。父の13回忌が去年だったから、他界して13年になるのか・・・。(堀)

