58:(200511)
少聞多想/58:黒土三男監督の作品「蝉しぐれ」
- スクリーンでは文四郎が藩主の側室となったふくと再会している。思いを寄せていた幼馴染のふくは気品ある美しい大人の女性になっていた。言葉が交わされる。二人の気持ちはひしひしと伝わってくる。ラストにも文四郎とふくが会い、ここがクライマックスだが見ていない人のために詳しくは書かない。
- 私はスクリーンの前で、大きく足を広げて踏ん張り、両手は椅子のひじ掛けを握りしめ、溢れる感動に耐えていた。ワンワンと子供のように泣き叫びたかった。藤沢周平原作、黒土三男監督の映画「蝉しぐれ」を見たときのことだ。
- 黒土監督と言えば「オレゴンから愛」や長渕剛さんと志穂美悦子さんの「親子ゲーム」、「とんぼ」などの名作TVドラマの脚本を書いた方でもある。黒土さんは藤沢周平さんの原作を読んで映画にしたいと思い、それから、藤沢さんの説得、資金の調達と上映まで15年かかってしまったそうだ。また、ウェブの監督日記には24歳の黒土青年が一人パリへ行ったときのことが書いてある。「映画監督になりたくて、その勉強には、あの町しかないと、激しく思ったものだ」
- 黒土監督自身のドラマにも感動している。たぶん、人間には物語というものが不可欠なのだろう。私の価値観や行動の元になる基準は本やTV・映画から学んだと思う。(堀)

