78:(200707)
少聞多想/78:「黒澤明vs.ハリウッド 『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて」
- 毎日、通勤電車の中で少しずつ「黒澤明vs.ハリウッド 『トラ・トラ・トラ!』その謎のすべて」を読んでいる。日本軍による真珠湾攻撃を題材とした日米共同映画『トラ・トラ・トラ!』。その日本側監督である黒沢明監督が撮影開始直後に降板するという事件があった。
- 本は作者の田草川弘さんがアメリカにまで渡り、膨大な調査をして収集した証言や文書をもとに、黒沢監督が描きたかったのは何か、なぜ解任されたのか、という謎を明らかにしようとしたものだ。
- いよいよ佳境に入ってきて、だんだん読むのが辛くなってきた。いつかは誰かが解明しなければならない謎だろうし、中途半端な記述より黒沢作品に対する造詣も深い作者の作品であり、これだけ丁寧に根気強い調査をしているのだから、許されてしかるべきことなのかもしれないけれど、読んでいて楽しくはない。
- 黒沢監督はその後、「どですかでん」、モスクワ映画祭大賞、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した私の一番好きな「デルス・ウザーラ」をソ連と合作で完成させる。この映画を観るとロシア人探検家がデルス・ウザーラを尊敬し、愛しているのが分かって分かってしょうがない。『トラ・トラ・トラ!』の事件があって、人間がさらに深くなったからなのかも知れないと思った。本は多くの賞を受賞。(堀)

