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89:(200806)

少聞多想/89:私もいつの間にか「老をむかふる者」

  • 数年前に購入して積ん読状態になっていた立松和平さんの「すらすら読める 奥の細道」を通勤電車の中で読み始めています。「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。舟の上に生涯をうかべ馬の口とらへて老をむかふる者は、日々旅にして旅を栖(すみか)とす」。有名な書き出し文の「老をむかふる者」という言葉がとても他人事とは思えず、身にしみる年齢になってきたからです。
  • 今朝、通勤電車の中で読んだ部分を紹介してみます。芭蕉と弟子の河合曾良が那須の黒羽という所へ知人を訪ねて行く途中のことです。農家に一晩泊めてもらい、次の日、野飼いの馬がいたので草を刈っている男に懇願しますと「この馬に乗って行って、止まったところで馬を返してください」と馬を貸してくれます。二人の子供が馬について走って行きますが、その子供の一人を俳句に詠み、最後にお金を鞍壷に結びつけて馬を返すと言う逸話が美しい言葉で描かれます。
  • 芭蕉が弟子の曾良と共に江戸の深川を出発したのが元禄2年(1689)の3月27日。東北・北陸を旅して岐阜の大垣に到着したのが8月21日。そのときの芭蕉の年齢が46歳で、その5年後に芭蕉は亡くなっています。私もいつの間にか芭蕉の年齢を超えていて「老をむかふる者」なんですよね。(堀)

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