113:(201006)
少聞多想/113:まさに風姿花伝に言う「秘すれば花なり秘せずは花なるべからず」。
- 「春との旅」を観ました。小林政広監督の映画は観たことがなかったのですけれども、アサヒコム「どらく」の「ひとインタビュー」に登場
た「切腹」、「用心棒」、「椿三十郎」の仲代達矢さんが「脚本に惚れ込んで出演を決めた。脚本の出来栄えは出演した150本中、5本の指に入るほどすばらしい」と言うのですから、見逃す訳には行かないのです。 - 映画は漁村のみすぼらしい家から仲代さんが出て来て杖を投げ捨て、徳永えりさんが仲代さんを追います。仲代さん演ずる忠男は老いた漁師。孫娘の春は学校の給食係として暮らしていましたが廃校になって失職。春が東京に出て働くために忠男の居候先を探して歩く旅なのです。
- 大滝修治さん、菅井きんさん演ずる兄夫婦のところに行けば、もう老いているので老人ホームに入るつもりだと言われ、年賀状が毎年来ている弟のところに行けば不在でようやく内縁の妻を捜しあてる・・・温泉旅館の女将の姉、不動産屋の弟・・・兄弟の遠慮ないやりとり、怒鳴り合いを見ているうち春は別居している父に会いたいと言い出します。
- 構成が素晴らしく、「風姿花伝」に言うまさに「秘すれば花なり秘せずは花なるべからず」。隠している訳ではないのですが観客は知らされていない訳で、全てがクライマックスで統一されているのでした。(堀)

